カーボンニュートラルに向けた自治体との連携事例

山口県下関市との連携

下関市は、環境省が実施する「脱炭素先行地域」の第5回公募に応募し、2024年9月、脱炭素先行地域に選定されました。当社グループは、この公募における下関市の共同提案者(※)として、地域事業者の脱炭素経営を支援するべく、「地域×金融」による脱炭素基盤づくりに取り組んでいます。

  • 共同提案者となった当社グループ内企業一覧:山口フィナンシャルグループ、山口銀行、YMFG ZONEプラニング、ワイエムコンサルティング(現YMFGグロースパートナーズ)、ワイエムリース

<「地域×金融」による脱炭素基盤づくり>
下関市では「下関市SBT認定取得支援補助金」を創設し、環境配慮行動優良事業者認定や中小企業版SBT認定の取得を通じて、市内事業者の脱炭素化を促進しています。当社グループは、この取り組みに連動し、CO2排出量削減等のサステナビリティ関連目標の設定・達成を奨励する「サステナビリティ・リンク・ローン」について、市内事業者にも利用いただきやすい商品内容とした「しものせき脱炭素経営支援ローン(サステナビリティ・リンク・ローン)」として展開しております。
また、下関市は「下関市脱炭素先行モデル地区設備導入支援補助金」を創設し、市内事業者の再エネや省エネ設備等の導入を促進しています。当社グループは、この取り組みを推進するために、地元メーカーや設備事業者等と連携した地域リース事業を展開し、設備リースのワンストップ支援体制を構築しております。
こうした金融商品の提供等を通じて、下関市の環境関連制度と連携しながら、引き続き、市内事業者の脱炭素化に向けた意識醸成、体制整備、再エネ・省エネ設備への投資等を支援してまいります。

山口県下松市との連携

2024年10月、下松市内における脱炭素への機運向上を図るため、下松商工会議所、下松市および当社グループの連携により「くだまつ脱炭素経営セミナー」を開催しました。同セミナーでは、市内に拠点を置く大手企業が登壇し、地域内のサプライヤー企業に対して取り組み状況の発信等も行われました。
同セミナーをきっかけに、地域全体で脱炭素経営に取り組む重要性が再認識され、下松市では新たに「下松市中小企業脱炭素経営推進補助金」が創設されています。

カーボンニュートラルに向けた地域企業のお取り組み事例

株式会社山下工業所

ワイエムコンサルティング(現YMFGグロースパートナーズ)が山口県の脱炭素関連支援事業でご支援を実施した株式会社山下工業所は、補助事業内でのセミナーへの参加をきっかけにCO2削減ロードマップの策定に取り組み、脱炭素への対応を本格的に開始しました。その後、パリ協定に整合した温室効果ガス削減目標である中小企業版SBT認定を取得するなど、地域内のサプライヤーの牽引役となっています。また、SBT認定に基づくCO2削減目標をSPT(※)とした「サステナビリティ・リンク・ローン」契約を山口銀行と締結し、SPTの管理・達成を通じた脱炭素経営の強化を図っています。さらに、同社は地域企業を対象とした脱炭素関連のセミナー等への登壇を通じて、自社の取り組みについて積極的に発信しており、地域における脱炭素に向けた機運醸成にも大きく貢献しています。

  • SPT(Sustainability Performance Target):企業の戦略において環境改善や社会課題解決に資するサステナビリティに関連する目標
連携図

コンビナートの脱炭素化に向けた当社グループの取り組み事例

環境省支援事業 令和7年度「持続可能な社会形成に向けたESG地域金融の普及・促進事業(ESG地域課題解決支援プログラム)」

1. 応募理由・背景

当社グループの主要営業エリアのひとつである山口県は、コンビナートにおける化学、セメント、鉄鋼、製紙等の基礎素材型産業が、県内経済と雇用を支える基盤産業として重要な役割を担っています。一方で、これらの産業は生産活動に多くのエネルギーを必要とすることからCO2排出量が多排出の状況にあります。現在、山口県やコンビナートに立地する大企業を中心に脱炭素化に向けた検討が進んでいますが、国際的な競争力を維持・強化していくためには、コンビナート地域内・地域間で連携した脱炭素化の取り組みが求められます。

 

なお、当社グループの融資および預金のポートフォリオにおいては、コンビナート関連企業との取引が一定の割合を占めています。このため、地域企業がコンビナートの脱炭素化に適切に対応し、事業を維持・強化を図ることは、当社グループの事業継続にも大きな影響を及ぼす可能性があります。一方で、コンビナートの脱炭素化に伴って将来的に想定される大規模な資金需要への対応、中堅・中小企業の適切な業態転換の支援に向けては、当社グループ自身がコンビナートに関する産業構造や外部環境への理解を一層深めていく必要があると考えています。

 

このような認識のもと、当社グループは、2025年7月、環境省の令和7年度「持続可能な社会形成に向けたESG地域金融の普及・促進事業(ESG地域課題解決支援プログラム)(※)」に応募し、同支援事業の中で、コンビナートの脱炭素化に向けた地域企業への支援体制について検討を実施しました。

  • 地域金融機関等における環境・社会に対するインパクトの創出、地域の持続可能性の向上等に資する取り組みを支援することを目的に、ESG地域金融を実践する地域金融機関のモデル的な取り組みを支援するもの

基本的な考え方

地域金融機関がESG地域課題を発掘し、解決に向けた取り組みを進めることが、金融機関、取引先企業、地域社会それぞれに価値をもたらし得るというのが、支援事業における基本的な考え方です。支援事業内ではこの考えに基づき、検討を行っています。

支援事業の基本的な考え方

2. 支援事業における実施事項および検討事項

支援事業では以下の流れで検討を進めました。

コンビナートの脱炭素化に向けた取り組みの内容やタイムスパンは、政治経済の状況や技術開発の進捗による不確実性が高いため、当支援事業ではシナリオ分析を用いて「脱炭素化進展」「脱炭素化停滞」「化学産業の縮小」といった複数のシナリオを置き、山口県やその他の県内基礎自治体、コンビナートに立地する大企業やその取引先企業といった、多くのステークホルダーの皆さまへヒアリングを実施いたしました。その結果、大企業の脱炭素化に向けた取り組みに伴う、中小企業をはじめとした地域の関連産業への影響は、直近ではそれほど大きくないことが確認できました。

 

その一方で、中小企業や基礎自治体は大企業とのコミュニケーション機会が少なく、コンビナートの脱炭素化に向けた情報を持っていないことが明らかになりました。当社グループの主要顧客である地域の中小企業にとって、直近での影響は限定的であると思われますが、今後の進展に備えて、できるだけ早い段階で情報を把握し、大企業による取り組みへの適応や必要に応じた業態転換を行える体制・環境整備が必要になると考えられます。

 

このような課題感のもと、当社グループが現状果たすことのできる支援策として、コンビナート内での情報の非対称性の解消・緩和や公正な移行を推し進めることを目的に、ステークホルダー間の情報ハブの役割を果たすことを検討いたしました。

ハブ機能の提供イメージ

ハブ機能の提供イメージ

なお、本支援事業については、委員の皆さまより以下のご意見を頂戴しています。

委員の皆さまよりいただいたご意見(一部抜粋)

  • 地域金融機関がコンビナートの大企業と地域企業との連携ハブとなる取組は、たいへん価値がある。小さくても取り組みの成果を出すことで、次の課題と機会が見えるものと期待する。
  • 地域経済・雇用を支える産業基盤であるコンビナートの脱炭素化移行を主題に据え、これを大企業と自治体の間だけに留めず、広く地域の中堅・中小企業を巻き込んだ議論に展開する役割を検討しており、地域課題に主体的に取り組むESG地域金融の好例である。「情報のハブ機能」というアプローチは実効性が期待でき、ここでの共通理解を基盤に「地域経済の公正な移行」という長期的な見取り図の議論に進むことを期待する。
  • 大企業へのインタビュー等を通じて、企業や自治体と幅広く対話できる地域金融機関が、地域のハブとして機能し得ることを具体的に示した取り組みであり、今後、こうした対話の蓄積が地域全体の脱炭素や産業高度化に繋がっていくことを期待する。

3. 今後の進め方

 ハブ機能の提供によるステークホルダーとの対話を通じて、ステークホルダー間での情報連携を促進することが、当社グループ自身のコンビナート関連の動向や課題感の理解、ESG要素を踏まえた事業性評価や金融支援の高度化につながるものと考えています。また、地域社会にとっては、地域のステークホルダー間の連携が促進されることにより、将来的なコンビナートの脱炭素化ならびにGX関連産業の発展につながることが期待されます。引き続き、地域のステークホルダーの皆さまと対話を重ねることで、コンビナート関連産業の維持、公正な移行の実現、そして当社グループ自身の持続可能性向上を目指していきます。