地域に企業が多数存在するだけでは、真に豊かな地域とは言えず、インフラ整備や交流人口の増加など、地域における「面」的なまちづくりの視点が不可欠です。そこで、当社グループがこれまで先駆けて取り組んできた地域共創分野のノウハウを活かし、「観光」「面的再生」「インフラ整備」などの「まちづくり」に注力しています。

男性社員の育休の取得実績

地域との経済的インパクト

2015年の地方創生コンサルティングを手掛けるYMFG ZONEプラニング(以下、YM-ZOP)設立以降、当社グループは他地域金融機関に先駆けて地域共創事業に取り組んでおり、数年前よりそうした売上等では測れない非財務領域の取り組みを可視化し、財務的価値との関連性を示すことにチャレンジしてきました。
そうした中、2024年度に早稲田大学の柳教授やアビームコンサルティングならびに包括連携協定を結ぶ山口大学と連携し、地銀初となる独自の算出ロジックの構築に至りました。
計算モデルは企業が社会や環境にもたらす影響を算出する「インパクト会計」の手法を取り入れたものであり、当社グループの提案により、地域と共に創り上げたプロジェクトが地域へ与えた影響を定量的に算出するものです。
本モデルで当社グループがこれまで取り組んできたプロジェクトの効果を金額換算したところ、「山陽小野田市LABVプロジェクト」は総額87億円、「長門湯本温泉再生プロジェクト」は総額13億円となり、インパクト総額は100億円となりました。(2024年度時点)
こうした地域への経済的インパクトは、2029年度に累計300億円、2034年度に累計1,000億円の創出を目指します。

YMFGのインパクト可視化の取り組み

経済的インパクトの算出

具体的な算出方法としては、地域再生プロジェクトを時系列に沿って4要素に分けて測定します。
企画段階では、各主体が事業実現に向けて自主的に活動した無償活動の価値(エンパワメント価値)、事業形成段階では視察や観光客増などによる効果(プロモーション効果)を算出します。事業化して以降の効果は、地価への影響を中心とした効果(地域価値向上効果)、近隣への店舗集積などの効果(地域経済活性化効果)を計算し、これら4要素の合計額を「地域との経済的インパクト」として算出します。

観光に関する取り組み

地域における重要な観光資源の維持・発展に取り組み、経済循環を促進することで魅力を高め、持続可能なまちづくりに貢献します。

長門湯本温泉の旅館再生事業

山口県で約600年の歴史を有する温泉郷・長門湯本温泉において、老舗旅館「六角堂」が、事業承継の課題を抱えていたことから、当社グループは「長門湯本温泉まちづくりファンド投資事業有限責任組合」を活用して、株式会社Staple(広島県尾道市)と共に株式会社SOIL Nagatoyumotoに共同出資し、「六角堂」の事業承継を実現しました。
本件は、グループ3社(山口銀行、YM-ZOP、YMFGキャピタル)が連携することで実現したプロジェクトで、これまで培ってきた知見やリソースなどを最大限に活用し、グループ一体となって温泉旅館の再生を起点とするまちづくりプロジェクトに取り組んできました。

2025年3月には、客室・サウナ・レストラン・アクティビティセンター等を備えた複合施設「SOIL Nagatoyumoto」として開業。「温泉街とつながる宿」をコンセプトに、施設内で完結するのではなく、長門湯本温泉の街並みや自然環境、地域の人々との繋がり・交流の機会を創出することを目指しています。

※複合施設「SOIL Nagatoyumoto」

インフラ整備に関する取り組み

地域の社会課題解決に向けて、官と民が連携することで、地域のニーズに応じた解決策を見出し、より良い社会の実現を目指します。

PPP/PFIプラットフォームの運営

PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)/PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)は、公共施設やサービスの提供において、民間の資金やノウハウを活用する官民連携の手法です。
YM-ZOPは、国土交通省よりPPPパートナーとして認定されており、2018年から運営する山口・広島・北九州の3地域におけるPPP/PFI地域連携プラットフォームの運営を通じて、官民連携による公共施設の整備・運営事業などを推進し、地域課題の解決に貢献しています。

2020年からは、国土交通省が設置する地方ブロックプラットフォームの運営を受託するなど、さらに専門的な支援体制を構築しております。今年度は運営対象が全国となり、官民連携に関する全国自治体への情報提供や普及啓発を進めていく予定です。
また、インフラ分野の老朽化や人材不足といった課題に対応するため、「インフラPPP研究会」を立ち上げ、自治体や民間事業者との情報共有や課題解決に向けた取り組みを進めています。国土交通省が推進する、上下水道などで設備の管理と更新を一体化させて管理する「ウォーターPPP」などの制度も活用し、自治体の導入支援や仕組みづくりを通じて、官民連携の普及と案件形成を後押ししています。

SIB(Social Impact Bond)の活用を促進する取り組み

当社グループは、新たな官民連携手法の1つとして注目される「ソーシャル・インパクト・ボンド(以下、SIB)」を活用して地域活性化を図るため、2021年10月に株式会社ドリームインキュベータ(以下、DI)とSIBにかかる包括連携協定を締結し、2022年9月にDIが運営する日本最大のSIBファンドと出資契約を締結しました。また、YM-ZOPを運営主体者として、2022年10月に地域金融機関初となる「SIB研究会」を設立しました。
各地方自治体が集まり、SIB事業のノウハウ取得や情報交換を通じた具体的な案件形成に寄与することを目的としており、事例研究を交えた勉強会などを定期的に開催しています。
2022年12月には広島県福山市、DIとSIB活用に向けた調査・研究に関する連携協定書を締結。2025年7月には、SIB研究会の構成員である山口市において「山口市ずっと元気・PFSプロジェクトに係る業務委託」の公募が開始され、美祢市では「令和7年度地方公共団体による成果連動型民間委託契約方式に係る事業案件形成支援事業」に採択されており、地域への広がりを見せています。

男性社員の育休の取得実績

面的再生に関する取り組み

地域課題を踏まえ、単なる施設の建て替えに留まらず、関係・交流人口の増加や活気を生み出すための官民によるまちづくりに取り組みます。

LABVを活用した山陽小野田市の取り組み

LABV(Local Asset Backed Vehicle:官民協働開発事業体)は、自治体が保有する土地の現物出資と、民間事業者等による資金出資を組み合わせて構成される共同事業体によって、官民連携で事業を推進する手法です。
2018年より山口県山陽小野田市において、施設の老朽化、まちの賑わい創出等の地域課題に対応するため、YMFGから山陽小野田市への提案により、YM-ZOPを始めとする当社グループが中心となって複数の市有地を連鎖的に開発するまちづくりプロジェクトを進行させました。2024年4月には、核となる複合施設「A-SQUARE」がオープン。これにより周辺に飲食店が誘致され、基準地価が県内でも数少ない上昇地点となるなど、その経済的インパクトは87億円と算出されました。
こうしたLABVを用いたプロジェクトは全国初の取り組みであり、2023年2月に「2022年度地方創生SDGsの達成に向けた官民連携取り組み事例」において、最上位の賞である「内閣府地方創生推進事務局長賞」を受賞しました。また、同年3月に「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」において、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)より表彰を受けました。

山陽小野田市におけるLABV構造

※複合施設「A-SQUARE」